食事が美味しい北海道に移住すべき3つの食育活動とは
食事の美味しさで都道府県をランキングする記事をときどき見かけますが、多くの場合、北海道は1位になります。
同様のテーマで市町村をランキングする記事も見かけますが、こちらも多くの場合、上位陣を北海道の市町村が占めています。そんな北海道は、食育の取り組みも盛んです。今回は、食育について書いてみました。
食育とは
現代人はとても忙しく、社会も複雑になっているため、人々の「食」に対する関心が薄れがちだとされています。
「食」に対する関心が薄れると、バランスの良くない食事が続いて健康を損なったり、料理の知識が失われたり、家族のきずなが希薄化したり、古くから伝わる地元の食文化が忘れ去られたり、農業などの1次産業が衰退したりなど、さまざまなマイナスの事柄につながりかねません。
食育とは、「食」に対する関心が薄まらないように、人々を啓蒙することを言います。
食育の背景
もともと「食育」という言葉は明治時代に作られたものですが、定着することなく廃れてしまいました。ふたたび「食育」という言葉が注目されたのは、今世紀に入ってからのことです。2006年に「食育基本法」という法律が施行され、国をあげて食育に取り組む時代が始まりました。
日本は太平洋戦争後の荒廃から、短い期間で大幅な復興を遂げました。農業国から工業国へと変貌したことが復興の原動力となりましたが、その反面、「食の西洋化」「食の伝承の衰退」が進んでいます。「食の西洋化」とは、家庭での食事が味噌汁・ご飯・おかずといった従来の日本型のものから、パン、卵、ハムやウインナーといった西洋型のものに変わったことを指します。
「食の伝承の衰退」とは、かつては食や料理に関する知恵や知識が親から子へ伝えられていたのが、伝わらなくなったことを意味します。「食育基本法」が制定された背景には、こうした現象に対する危機意識がありました。
日本の食育
食育とは「食」に対する関心を高めるための啓蒙活動ですが、いくつかの種類があります。
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食と健康の知識を伝える啓蒙活動
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食文化を伝える啓蒙活動
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農業や漁業、酪農や畜産業の大切さを伝える啓蒙活動
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食品ロスを減らし環境を守る啓蒙活動
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食品安全の知識を伝える啓蒙活動
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料理の知識を伝える啓蒙活動
日本では、こうした活動が学校などの教育現場や、自治体の施設、民間団体が主催するイベント、スーパーマーケットの店頭などを通して行われています。
また、日本政府は、健康のために人々が「何を」「どれだけ」食べたらよいのかを伝える目的で「食事バランスガイド」というイラストを作成しています。
北海道の食育
北海道でも様々な形で食育活動が実施されています。その中からいくつか紹介しましょう。
どさんこ食育推進プラン
食育を総合的に推進するために、北海道が策定した政策です。野菜や果物の摂取量が少ない道民の食生活、高齢化の進展に伴う高齢者層への食育の重要性の増大、地域の食育の担い手の減少、環境に配慮した食品ロス削減への社会的関心の高まりなど、様々な課題に取り組むことがうたわれています。
北海道食育コーディネーター制度
道内の食育活動を支援するために、北海道が創設した制度です。健康づくり、食習慣、栄養バランス、調理技術、農林水産などさまざまな分野の専門家が、食育活動の助言を行っています。
道産食品独自認証制度
豊かな自然環境や高い技術を生かして生産される安全で優れた北海道産食品を、道が認証する制度です。認証制度により、道産食品のブランド化が進むことが期待されています。
以上は公的な食育活動の事例ですが、民間レベルでもさまざまな活動がさまざまな地域で行われていることも書き添えておきます。
まとめ
食育とは、「食」に対する関心が薄まらないように、人々を啓蒙することを言います。そのために「食育基本法」が制定あれ、国を挙げて食育を推進しています。
北海道では、公的な食育活動として「どさんこ食育推進プラン」「北海道フードマイスター検定」「北海道食育コーディネーター制度」「道産食品独自認証制度」などがありますが、そのほか民間レベルでもさまざまな活動がさまざまな地域で行われています。
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まだ飲んでいないの?北海道の5つの名水について
雄大な自然が魅力の北海道は、「名水」の宝庫でもあります。昭和、平成と連続して「名水100選」に入選する地域が5つもあります。「羊蹄(ようてい)のふきだし湧水」「甘露泉水」「ナイベツ川湧水」「仁宇布(にうぷ)の冷水・十六滝」「大雪旭岳(たいせつあさひだけ)源水」の5つです。
今回は、「北海道の5つの名水」について、解説していきたいと思います。
名水100選とは
「名水100選」とは、環境省(当時環境庁)がスタートさせたプロジェクトになります。全国に多くの形態で存在する清澄な水について、その再発見に努め、広く啓蒙することを目的として開始されました。
昭和60年3月に初めて、全国各地100ヵ所の湧水や河川を「名水百選」として選定しました。また、平成20年には、「平成の名水百選」として新たに追加選定しています。「昭和」「平成」と合わせて200選となっています。
北海道の名水
北海道は、水量のみではなく、水質にも恵まれている地域です。北海道の特に河川上流部の自然環境が良好に保持されているからでしょう。「昭和」「平成」それぞれの時代に、合わせて5つ、名水に指定されています。
羊蹄(ようてい)のふきだし湧水
羊蹄のふきだし湧水は、北海道京極町にあるふきだし公園で採水できます。ふきだし公園では誰でもが自由に湧水を採水できるため、ペットボトルを持参で訪れる方を多く見かけます。羊蹄(ようてい)のふきだし湧水の名称は、北海道にある羊蹄山(ようていざん)に由来します。羊蹄山に降った雨や雪が長い年月をかけて大地に染みこみ、ろ過されたものが一気に大地から噴出する様子から、「羊蹄のふきだし湧水」と名付けられたと言われています。
甘露泉水(かんろせんすい)
北海道北部に位置する利尻島の中央には、日本名山百選にも選ばれた名峰、利尻山です。甘露泉水が湧き出しているのは、その利尻山の登山道のひとつである鴛泊登山ルートの3合目付近で、稚内から1時間40分ほどフェリーに乗り、鴛泊港で下船してから1時間15分ほど歩いた場所です。
甘露泉水は利尻山の降水や雪解け水が地下に浸み込み、長い年月をかけてゆっくりと育まれた湧水です。名水百選の中でも、日本最北端の名水として知られています。
ナイベツ川湧水
支笏湖カルデラの外輪山から流れ出るナイベツ川。名水ふれあい公園(蘭越浄水場)で千歳川に合流して日本海へと流れ出ますが、千歳川と合流するまでの2.5kmの間には60ヶ所以上の湧水地があります。ナイベツ川一帯は、国の史跡「ウサクマイ遺跡群」、千歳市第1種自然環境保全地区、北海道森林管理局の水源涵養保安林に指定され、立ち入りが禁止となっています。
そのため、ナイベツ川は立入禁止になっていますが、千歳川の合流点から北海道道16号支笏湖公園線(支笏湖スカイロード)の苗別橋の間には名水ふれあい公園の遊歩道も設置されているので、その清流の雰囲気を楽しむことができます。
仁宇布(にうぷ)の冷水・十六滝
仁宇布(にうぷ)とは、アイヌ語で「ニウプ(森林)」又は、「ニ・ウ・プ(木の・ある・川)」の意味とされています。昔、山仕事で疲れた体を、この冷水で回復させ仕事をしていたようです。マイナスイオン豊富な美しい滝と真夏でも水温が6度という湧水です。
「仁宇布の冷水」と「十六滝」は、湿原や原生保存林などに囲まれています。アイヌの自然に感謝する「カムイノミ」儀式が毎年行われているなど、地域住民に親しまれています。
大雪旭岳(たいせつあさひだけ)源水
北海道のほぼ中央に位置し、大雪山国立公園の麓にある人口約8,000 人の小さな町である東川町は、全国的にも珍しい、北海道でも唯一の上水道の無い町です。
大雪山の大自然が蓄えた雪解け水が、長い年月をかけて地中深くにしみ込み、ゆっくりと東川町へ大切に運ばれてくるためです。東川町で暮らす人たちは、生活水として利用しており、天然の美味しい水で育ったお米や野菜は格別です。
まとめ
・「名水100選」とは、環境省(当時環境庁)がスタートさせたプロジェクト。
・北海道の名水として5つが選ばれている。
以上、「北海道の5つの名水」について、詳しく書いてみました。
最後までお読みいただき、有難うございました!
至高の食材!“倶知安じゃが”について
今回は、全国で大人気の“倶知安じゃが”について、倶知安・ニセコ地区の「ジャガイモの歴史」を中心としながら、詳しく書いてみたいと思います。北海道では、約50種類のじゃがいもが生産されていますが、倶知安・ニセコ地区においては、主に5種類が中心となって栽培されています。ジャガイモの歴史と合わせて、種類についても、ご紹介していきたいと思います。
ジャガイモの歴史について
北海道と言えば、「ジャガイモ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ホクホクとした食感で、寒い季節に美味しい「ジャガイモ」ですが、じつは7月から8月にかけて夏場に旬を向かえる食べ物です。
ジャガイモの原産地は南アメリカの中央アンデス山脈の標高3千メートルを超える高地と言われており、現在においても野生のジャガイモが存在するそうです。北海道はアンデス地方の気候風土に似ていることからも、栽培にとても適した環境となっています。
倶知安・ニセコ地区では、明治25年に開拓の祖のひとりであった真鍋浜三郎によって栽培されたのが始まりとされています。その後に、ジャガイモ栽培に研究熱心だった柳原虎藏が、形の良いジャガイモを厳選し、種いもを作り続けました。その結果、品質の良いジャガイモの栽培に成功しました。
そのジャガイモは味が良いことから、倶知安町でまたたく間に栽培が広がり、北海道の特産品「蝦夷錦(えぞにしき)」として本州に出荷されるようになりました。「蝦夷錦(えぞにしき)」は、消費地の評判も良く、ジャガイモ王国・倶知安の隆盛のきっかけとなりましたが、病気に弱い品種であったこともあり、作付けされる品種は次第に「男爵」へと移り変わっていきました。
それでも、冷害による作物の凶作や、太平洋戦争という不遇の時代を乗り越え、昭和30年代からは本州へ大量出荷されるようになりました。
現在、全国で大人気の「倶知安じゃが」ですが、農薬などの使用を一定量に制限した特別栽培によって育てられており、「倶知安じゃが」ブランドとして安全でおいしいジャガイモを標準化し、提供できる体制が整えられています。
倶知安・ニセコ地区のじゃがいもが美味しいと言われる理由
一般的には、昼夜の寒暖差が大きいほど、ジャガイモの糖度は高まると言われています。ジャガイモは、日中に光合成によりたくさんの糖分を作り、夜間には糖分を利用して活動しています。倶知安・ニセコ地区は低温であるため、ジャガイモ自身の呼吸による糖分消費を抑えることができるため、甘味を蓄えやすい環境にあります。
ジャガイモは、収穫後にすぐ食べると、しっとり感が無く甘味も強くないこともあり、倶知安・ニセコ地区で収穫されたジャガイモは、一度、雪室低温貯蔵庫で保管されてから、順次出荷されています。低温で熟成させることにより、絶妙な甘味となって消費者に届けられています。
倶知安・ニセコ地区で栽培されている5種類について
日本国内で手に入らないものを含めると、ジャガイモの品種は約2,000種もあると言われています。私たちがよく目にする茶色いものばかりではなく、黒っぽいもの、さつまいもの色に近いピンクがかった外観の品種もあります。多品種なジャガイモですが、今回は倶知安・ニセコ地区で栽培されている代表的な5種類を紹介したいと思います。
男爵
ジャガイモといえば、この品種を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「男爵」は、日本で一番多く食べられているジャガイモの品種です。そのネーミングの由来については諸説ありますが、かつて函館の川田男爵がイギリスからジャガイモ尾の種いもを導入したことではないかとの説が有力です。
粉質が強いこともあり、粉ふきいもなどホクホクとした食感を生かした料理と相性が良いです。煮崩れしやすいため、煮る時間は短めが基本です。ゴツゴツした形のため、皮がむきにくいですが、サラダ・コロッケを中心にどんな調理にも利用できる万能じゃがいもです。
とうや
漢字で表記した場合には、「黄爵(とうや)」となります。 デンプン質は男爵に比べてやや低いものの、早期肥大にすぐれた品種であり、長球形で比較的サイズが大きいのが特徴です。あまりホクホクした食感にはならないのですが、煮崩れしにくいといった長所を持っています。カレーや肉じゃがなどの煮込み料理に向いています。
きたあかり
形は球型で、見た目は男爵いもとよく似ています。男爵と似ていますが、より食味・香りが強い品種です。男爵よりも甘味が強いのも特徴です。男爵よりもホクホク感が強いのが特徴ですが、男爵よりもさらに煮崩れしやすいので レンジでの調理や加工に向いています。甘く香りも良いので、シンプルにジャガバターにしたり、フライにしたりすると、とても美味しいです。
きたかむい
皮は茶色で形は丸く、くぼみが浅いので皮がむきやすいジャガイモです。果肉の白色が綺麗で、肉質はやわらかいですが、煮崩れしにくく甘味が強いため、コロッケやポテトサラダにピッタリです。
さやか
「さやか」は1995年に食用品種として登録されたジャガイモです。開発がはじまったのは1983年。約12年間かけて品種改良がおこなわれました。
味はエグみが少なく、さっぱりとしており、大きさは男爵イモと同じくらいですが、ボコボコとしたくぼみがないのが特徴となっています。煮くずれしにくく、煮込み料理やサラダ、蒸し料理に向いています。
JGAP認証取得について
JGAPとは食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証であり、農林水産省が導入を推奨する農業生産工程管理手法の1つです。倶知安・ニセコ地区において、多くの農場が、この認証を受けています。
適切に管理されている農場だからこそ、安全な農産物を提供することができます。そのような農場が多いことも倶知安・ニセコ地区の魅力のひとつになります。
まとめ
・「倶知安じゃが」は、農薬などの使用を一定量に制限した特別栽培。
・約2000種類あるジャガイモの品種のうち、約5種類が中心となり栽培されている。
・倶知安・ニセコ地区の農場は、多くがJGAP認証を取得。
以上、倶知安・ニセコ地区の「ジャガイモの歴史」を中心として、詳しく書いてみました。
最後までお読みいただき、有難うございました!
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